壁スイッチの交換

 我が家の台所の照明の、壁スイッチの動きがおかしくなった。

 ハンドル部分がふわふわとした感触になってしまい、どうもバネがヘタっているっぽい。
 これはパナソニックのコスモシリーズワイド21の埋込スイッチだが、10年前にリフォームしたときから使っているので、すでに10年は経過していることになる。
 10年と言えば製造物責任も切れるわけで、まあ寿命と考えた方が妥当だろう。
 スイッチ自体はホームセンターでも安価に手に入るのだが、取り換えは電気工事士の資格が必要だ。
 ご心配召さるな。ペーパードライバーに近いが、自分はちゃんと資格を持っている。

 交換は10分も掛からない。
 このシリーズの取付は久しぶりだったのだが、手慣れた人なら、5分も掛からないんじゃないか。
 交換によって、ふわふわとした感触は、ちゃんと圧を感じるようになった。
 ハンドル側に問題があると疑っていたが、スイッチの押し釦部分が壊れているとはっきりしたわけだ。

 閑だったので、外したスイッチを分解してみた。
 最近のこういったものは、ほとんどがはめ込みだけで作られていて、ネジは一本も使われていない。
 多分、ロボットや組み立て機械で全自動で作っているんだろうな。

 こんな安価な製品でも、パーツ数は10を超えており、結構繊細なパーツも使われているのは驚きだ。
 その中の、薄青色のプラスティックで出来た押し釦の裏に、板バネが取り付けられていて、この板バネで押しボタンを持ち上げ、押したときに圧を感じるようにしてある。
 その取り付け部分(突起にバネが嵌めてあるだけ)の周囲が、押されたときのたわみの繰り返しで割れたようだ。

 こういう割れ方を難しい言葉で”応力集中破壊”と言う。
 パソコンがどんどん進化していたころ、会社で”応力集中解析プログラム”が導入され、楽しくていろいろやってみた。
 以外に単純な原理なので、どう設計すると応力集中を防げるかというのが、計算しなくてもわかるようになる。
 そうやって無駄な部分をそぎ落とし、必要な部分を増していくわけだ。
 このバネ構造では、バネを押し釦に取り付ける時、外れないようにスナップリング的な機能を持たせるために作ったスリットが原因を作っていると推測。

 まあ、10年は使えたたということで、設計としては過剰でも無かったわけだから、悪いとは言わない。
 むしろ、接点の荒れ方を見ると、交換時期としてちょうど良かったと思っている。
 交換時期を知らせるヒューズ的な要素としては最良かも知れない。

 でもネットで調べると、同じバネの割れに関する記事が多い。
 やはり、この部分が最弱なのかもね。

 電気工事士の資格が無くても出来る修理方法というのがネットに上がっていた。
 ”新品のスイッチを買ってきて、押し釦部分だけを外して、交換する”というものだ。
 うん、確かに充電部分には全く触れずに交換出来る。ハンドルを交換するようなものだ。

 なるほどと感心するが、バネが割れるほど使っているスイッチの本来重要な接点部分は放っておくのか?
 それに、柔らかい爪で引っ掛けてあるだけの押し釦を交換すると、爪に支障が出ないか?今度は操作しても入切出来なくなるのではないか?
 何より、法律を守っているからいいだろうと言って、信頼性のある新品のスイッチを無駄にしてまでして、安全性を落とすのはどうかと思う。

 まあこれも、電気工事士の資格が無いと工事してはいけないと言いながら、ホームセンターに大量に置いてある不自然さの成す業か。