「ビワを採りに来るか?」
先輩から電話があったのが二週間前。
えっ、昨年はもっと遅い時期だったと思うのだが?
しかも行ってみると、まだヘタが青いのが多くて、途中で採るのを断念したような気がする。
なので半信半疑だったのだが、何と殆んどが完熟状態。
食べてみても、酸味も無く美味しい。
先輩曰く、
「今年は何もかもが二週間は早い気がする」
実は我が家でも実家の庭にビワを植えている。
最初は鉢で育てようとしたのだが、植え付けに失敗して実家の庭に植え替えた。
何年か花が咲かなかったが、昨年ようやく咲いた花に実が生り、収穫出来た。
それが六月の終わりだった。
食べてみると少し酸味が残っていたので、今年は七月に入ってから収穫しようと思っていた。
でも、先輩のビワを見て心配になり、すぐに実家に行き確認してみた。
恐る恐るビワの袋を外してみると、すでに黄色くなっていて、ヘタもちゃんと黄色で、正に見た目は採り時。
誘惑に負けて、昨年より十日早いが、収穫して帰って来た。
皮がきれいに剥けたので、味にも期待を持ったが、酸味が強かった。
奥さんも娘にも不評で、孫に至っては見向きもしない。
やはり、月末まで待てば良かったか。
実は、実家から帰る途中にも袋を掛けたビワの木があるのだが、こちらはまだ収穫がされていない。
それが正解だったのかも。
それにしても、そんなに収穫時期は違うものなのか?
先輩のビワは”茂木”というらしい。
この地方では一般的なビワだ。
二本あって、同じときに買ったと先輩は言うのだが、実の色が橙と黄で明らかに違う。
味も黄色の方が甘い。
苗屋で紛れ込んだか、新種か?
自分が選んだ品種は”田中”。
関東以北に多い品種らしいが、実家は山の上にあるので問題ないと判断した。
”茂木”だと、先輩とかぶるしね。
収穫時期が違うのはそのせいかも。
今年は花芽がたくさん着いて期待していたのだが、着果せず花が落ちたものも多かった。
がっかりしたが、そのお陰か、予想以上に大きな実を付けた。
大きな物で50gあったが、”田中”は80gほどにも成るらしい。
最もそれには摘果が重要なので、質より量を目指す我が家としては、この辺りで満足しておこう。
ただし、来年の収穫は何があろうと七月に入ってから!
先輩にお返しできると嬉しいのだが。